鬼舞辻無惨(きぶつじむざん)

 

鬼舞辻無惨とは、漫画『鬼滅の刃』に登場する鬼の始祖。

 

概要

吾峠呼世晴による漫画およびそれを原作としたアニメ『鬼滅の刃』に登場する、千年以上前、一番最初に鬼になった人喰い鬼の原種にして首魁。
はっきり言えば人食い鬼たちのボスにして、主人公の炭治郎にとっては家族を惨殺し、禰豆子を鬼へと変貌させた仇敵である。
その血は人間を鬼に変える事ができ、鬼にさらに血を与えると力が増強される。
この能力を持つのは、無惨ただ一人である。
しかし配下の鬼を誰も信用しておらず、もし無惨に関する事を喋ったり、名前を口にしただけでも、その身が滅び去ってしまう“呪い”を、配下全員にかけている。

 

存在が一定ではなく、ある時はモダンな紳士「月彦」、ある時は利発な少年「俊國」、ある時は妖艶な女性と、その時々で姿が変わる。
それだけに留まらず周囲の人間も『彼が昔から居た』かのように振る舞い対応する。
人として過ごしたり街に出る場合は、家族に見える人間を連れており、時には養子という形で富豪の家の一員になったりすることがある。

 

上記の通り自分の姿を不定期に変化させるが、実は彼が最も嫌うのは『変化』であり、自身は不変を好むと言う精神的に歪な面が見られる。

 

また、基本的に自身の部下である鬼に対しては、呪いを含めて常に情け容赦無い対応をしており、本人に落ち度が無くとも機嫌によっては幹部に匹敵する十二鬼月であろうと容赦せず殺すほど。
下弦の処刑の際は、唯一気に入った反応を返した一人を除いて四人を問答無用で処刑しており、残っている一人に関しても「自身の血による強化(耐えきれない場合は死亡)」という生き残れるチャンスが有るだけの死刑宣告を行うなど、その容赦の無さは筋金入りである。
もっとも行き詰っても明確な打開策をもって動いていた響凱などに比べれば、処分された下弦達の考えの甘さも否定できない所ではある。

 

一方で鬼の中でも人間的な部分の少ない、鬼の中でも更に外道に落ちたタイプの鬼はかなりのお気に入りであり、自ら誘惑したり、自分の血を大量に分け与えるなど、それなりに優遇している。
また、向上心が高い鬼や悲しい境遇をもつ鬼、便利な鬼も表にこそ出さないが気に入っている様子。

 

炭治郎がつけている花札風の耳飾りとは過去の因縁があるようである。

 

人物

 

残忍無慈悲かつ傲慢に生きる怪物

極めて冷酷にして残忍であり人間だけでなく鬼に対してすら一切の慈悲を見せない。
その様は、鬼が元は皆人間であり、無惨の支配によって彼を無条件で狂信する者や、鬼となったことを苦しみ悔やんでいる者を見てから鬼を「虚しく悲しい生き物」と説いている炭治郎をして、「本物の鬼」と言わしめたほど。
また、大切な者の仇を討つために自分の命を投げ出す鬼殺隊のことを理解しておらず、異常者の集まりだと思っており、「お前たちは助かったのだからそれでいいだろう」「私に殺されるのは大災に逢ったのと同じだと思え」と言い放っている。
しかもよりにもよって自分が創り出した配下の鬼ではなく、無惨自身の手で妹以外の家族を惨殺し妹を鬼にした炭治郎を前にしてのこの台詞である。家族の命と妹の人間性を踏みにじったばかりかそれをさも自然の摂理とばかりに語る姿に怒りの限界を超え、かつて無いほど冷たく腹の底まで厭悪が渦を巻く感情となった炭治郎は「無惨 お前は 存在してはいけない生き物だ」と言い放っている。

 

自らを「限りなく完璧に近い生物」と評しており、事実その強すぎる血の力は、一定量で人間を人喰い鬼へと変貌させるばかりか、受け手の人間側の素養を超えて注ぎ込んだ場合は、人間の細胞が変容に耐え切れず崩壊を起こすほどである。
自負の通り“完全生物”と言って差し支え無い力を有しているが、『何か』に対して過剰な畏れを抱いている節があり、鬼殺隊の前に姿や能力を晒す事を極度に嫌い、周到な擬態により人間として市井に紛れている。

 

このため自身は決して鬼殺隊と戦わず、人喰い鬼を増やしては、さらに精鋭たる『十二鬼月』を直属として選別しこれを用いて戦わせている。
なお、鬼に対しては前述の通り絶対服従の“呪い”をかけているため、鬼達の前にしか姿を現そうとしない無惨の在り方は、珠世が評したとおりの「臆病者」の面が垣間見られる。
一方で酔っ払いに絡まれた際は、周囲に人目がなく後に実行しているようにそのまま殺しても問題なかった筈なのに、「青白い顔」と禁句を言われるまでは謝ってやり過ごそうとするなど、妙に冷静な部分があり、逆に無惨の不気味さを際立たせている。

 

ワンマン気まぐれ傍若無人のブラック上司

概要の項にもある通り基本的に部下である鬼に対しては無慈悲な態度をとっており、彼らの前に直接姿を現すのは、制裁か罵倒を行う場合だけである。
事あるごとに幹部を集めて理不尽な怒りをぶつけるその様は、読者からはブラック会議とネタにされるほどである。

 

外見的な印象としては落ち着いた冷静な人間に見えるが、顔色が悪いと言う言葉に過剰に反応して人を殺したり、部下のミスに異常に腹を立てたりと、極度に短気な面がある。
言ってしまえばタチの悪い癇癪持ちであり、歩く地雷原。

 

あまりにも部下を殺していることから、ファンからは十二鬼月討伐数一位と言われたりすることも。
実際、作中で十二鬼月を葬った数は炭治郎の四体(下弦一体+上弦三体)を超えた五体(下弦四体+上弦一体)である。
特に下弦四体を無意味に殺したことによる損害は甚大。
作戦に動員できる面子を一気に失った結果、大規模な行動が取れなくなった事で鬼殺隊に鍛練の時間を与えてしまっている。
鬼同士は同族嫌悪の呪いにより連携がとれないものの、無惨が命令した通りの行動はできる。
なので無惨の作戦次第では、力の劣る下弦の鬼四体も活躍できていた可能性はある。
彼らは「上弦の鬼や鬼殺隊と比較すれば劣る」という事であり、"下弦の伍"(つまり下から二番目)の累でさえ、一般隊士にとっては数を集めて尚太刀打ち出来ない程の強力な敵だった。
更に言えば、十二鬼月ですらなく弱すぎると珠世に評された矢琶羽と朱紗丸ですら、当時の炭治郎一人では勝てなかった相手だった。

 

それでいていざ自らが戦場に立てば想定外の事態も理詰めで元を探り敵の勝ち目を潰し、常に即死級の攻撃を頻発しつつ堅実に敵を追い詰める冷静さと冷徹さを発揮し、鬼の頂点たる化け物としての恐ろしさを見せつけている。

 

能力・技

詳細不明。
“生物”として他の全てをあらゆる面で圧倒的に超越ている。
人間と比較すれば隔絶した能力を持つ鬼を更に大きく超越しており、人間を鬼化させる能力を唯一持っているなど、鬼とは別種の生物(上位種)と表現する方が近い。このため日輪刀で頚を斬り落とされても死に至ることは無い。
“最強”すらも容易く超越する、“万能にして無敵”に限りなく近い彼の力をもってすれば、鬼殺隊根絶もさしたるリスクを負わずに可能であろうと思われるも、やはり自身は決して表舞台に上がろうとしない。
単純な身体的速度においても凄まじく、全力で逃げ出した"下弦の参"や、不用意な言葉を口にした"上弦の伍"らの上位種の鬼を認識されるよりも前に一瞬で頚を刎ね飛ばしたり、己を包囲していた鬼殺隊隊士達を一瞬で虐殺したりなど、尋常ではないという言葉ですら生温いほどの速度を持つ。

 

また、血液を自在に変形、操作できるようであり、血液を有刺鉄線状に変化させ敵を打ち据える『黒血 枳棘(こっけつ ききょく)』などの技を持つが、悲鳴嶼行冥に一蹴されても大した反応もなかったあたり、無惨からすればほんの小技程度の可能性が高く、未だ詳細不明。
この血鬼術を抜きにしても、原初の鬼としての血を攻撃に混ぜるだけでも常人にとっては即死級の代物。
無惨が人間を鬼に変える以上の量を注入するだけで人間は即死するという、事実上猛毒を常に振るっているようなものである。
日輪刀で傷を付けても傷が付かなかったと誤認するほどの異常な速度の再生力を持つが、その不死性のからくりは人型の肉体の中に心臓と脳をいくつも有しているため。
かつて継国縁壱が追い詰めた時点では、心臓を七つ、脳を五つ有していた。
再生の結果なのか現代でもその異様な構造は健在であり、その不死性の要となっているようである。

 

 

 


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